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 モンゴル・レター

No.30 2003/9/10 (不定期発行)

 

発電所建設によりモンゴル人たちが先祖伝来の牧地を追われる

 

 

   家屋を所有した牧戸はオーストラリアから輸入

した乳牛を購入するため政府から5,000

の借金をすることになる

 

 中央政府への忠誠心を示すため、内モンゴル当局は「自治区全域送電プロジェクト」を打ち上げ、これによって地元のモンゴル人たちが牧地を追われている。新華社電によると、内モンゴルの「ショローンフフ」(正藍)と「ダイハイ」(岱海、オラーンチャブ・アイマク涼城県)の二大発電所の建設が最近急ピッチで始まった。

 ショローンフフ出身のモンゴル人によって、新華社ニュースの正確さが確認され、これら大規模プロジェクトにより地元モンゴル人がどれほど苦しんでいるかがわかった。

 200371日、1200キロワットの火力発電所の建設着工を祝う式典が、内モンゴル北部の中心地シリンゴル・アイマク(注)のショローンフフ・ホショーで行われた。このプロジェクトによって500ヘクタールの草原が永久に失われるのである。当発電所は、毎日900キロワットの電力を北京、天津地区に供給する。

 シリンゴル・アイマクは、内モンゴルにおいて最も伝統文化が残る牧畜地域のひとつであるため、中央政府の同化政策の主なターゲットになってきた。これらの政策は、土地封鎖、強制移住、牧畜禁止、都市化などを含む「生態移民」というスローガンの下、実施されてきた。20021月の報告によれば、同地域の3,43014,691人のモンゴル牧畜民が強制移住を強いられている。ショローンフフ発電所建設が着手されたことにより、強制移住者の数が再び増加している。シャンド・ソム政府は、フアンチー・ガチャーの84380人におよぶモンゴル牧畜民を全員移住させた。家屋やその他インフラは破壊され、モンゴル人にとって神聖な埋葬地さえも発電所建設に必要な道路を造るため、掘り返され移動させられた。

 政府は、地元住民の怒りを懐柔するため補償を提示しているが、それには3パターンがある。1つは、1万元(1,100米ドル)の補償が支払われるが、移住したモンゴル人は永久に故地には戻れず、新天地探しも個人で責任をもたなければならない。2つ目は、補償を選択しない場合、政府が建てた5,000元(550米ドル)の土の家屋に住まう。ただし、家屋を所有した牧戸はオーストラリアから輸入した乳牛を購入するため政府から5,000元の借金をすることになる。3つ目として、家長が60歳以上の場合は政府から借金することができないというパターンもある。

 中国当局は、強制的な政策をとりモンゴル牧畜民に伝統的な遊牧生活を断念させてきた。そして、公的メディアによって伝統的な暮らしを後進的で原始的な生活様式であるかのように宣伝してきたのである。近年、内モンゴルにおいて「西部大開発」をスムーズに進展させるため、自治区全域で土地封鎖、強制移住、牧畜禁止、都市化を進める「生態移民」政策が実施されている。同政策は単に人や動物の移動ではなく、中国領土からできるだけ速やかにモンゴル人を排除する目的で周到に考えられた民族圧殺のプロセスであると、内モンゴルのあるモンゴル人学者が語った。

(南モンゴル人権情報センターSMHRIC、ニューヨーク、200394日、原文は英語)

 

(注)内モンゴルには、モンゴル国と同じアイマク(漢語では「盟」)という行政区画があり、その下にホショー(旗)、ソム(蘇木)、ガチャー(嗄査)がある。ただし、これらのモンゴル的な行政区画は、アイマクがホト(市)に改編されるなど急速に姿を消しつつある。

[編集後記]

 継続は力なり。しかし、小さな存在が「力」となるのはそう楽なことではない。SARS騒ぎ以来、4か月間も休刊状態になってしまった。内モンゴルのモンゴル人には周知のことであるが、今夏ウジュムチンなど一部地域で雨に恵まれたことを除けば、エスニック・マイノリティとしてのモンゴル人が生きる内モンゴルの状況が好転したというニュースを聞くことはない。メディアの表に出てこないところで一体何が起こっているのか、まず事実を知ること、そして知らせることの大切さを再確認した。

 

 [編集・発行] SMHRICOSAKA

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